LSO定期講習会(応急手当認定プログラム講習会)

LSOという団体が開催している応急手当認定プログラム講習会に参加してきました。


以前から話は聞いていたものの、自分は公道ライダーじゃないし、車に乗っても助手席だし、バイクに乗ったら後ろだし、同乗者に何かあったら私はもっと酷い状態だろうし、私がライダーになれる状況下ではほかにものすごい熟練ライダーがたくさんいるし、あまり縁がないな、と考えていたのが正直なところです。


しかし、先日、親しい友人をバイク事故で亡くし、知ったのが亡くなった後ではあまりにも自分に出来ることが何もなくて放心し、何かしたい、と思ってこの講習会のことを思い出し、「今回は私に出来ることは何もなかったけれど、今後何か出来ることがあるときに、やり方を知らないからという理由で何も出来ないのはいやだ、せめてこの経験を何かに生かしたい」と思って参加を申し込みました。


講習には、グループで参加されている方が多かったですが、皆さん自発的に参加されていて意識が高く、グループでの馴れ合い的なものも全くないので、独りで参加した私でも充実した実技講習を受けることができました。


講習自体は決してバイクやクルマの特殊な事故に特化したものではなく、テキストもL.S.F.A(Life Supporting First Aid)のBasic Skillsのものを使っているので、AEDの使用法・心肺蘇生・止血法等、普遍的な内容でした。


ただしオプションスキルとして、「一般人にはここまですることは薦めていません」ということを前提としながらも、ヘルメットの脱がせ方についてのレクチャーがあったり、バイク乗りが多く参加しているため質疑応答の事例が二輪に関するものが多くなったり、やはりライダーにとっては特に有意義だったと思います。


座学はほとんどなく、数分のビデオを観てすぐに三人一組で実技に入り、傷病者役・救護役・コーチ役の三役を必ず一通りローテーションします。もちろん心肺蘇生やAEDの使い方はダミーを使います。「一人が心肺蘇生を行っている間にAEDを持ってきて、セッティングする係」の経験はとても有意義でした。これなら、周りに医療資格者や熟練ライダーがいるときにも、自分も役に立てます。


AEDは一回扱ったことさえあれば、誰でも役に立つことができる本当に高性能な機械だと分かりました。声でインストラクションがあることも知らなかったし、AEDでのショックが必要か不要か、機械が判断してくれることも知りませんでした。上半身の衣服をつけたままでは難しいことが分かったということは、傷病者が女性の場合、同性として傷病者を野次馬の目から隠すという仕事で役にたつこともできるわけです。


応急手当のガイドラインというのはどんどん新しくなっていて、その場にあるもので器用に副木を作ったり、止血帯の巻き方を知っていたり、三角巾を一箇所引っ張ればほどける巻き方で巻くことができたり、ということは全く必要なく、「上手に出来ないだろうから役に立たないに違いない」と思って躊躇する必要は全くないということがよくわかりました。


学校では美術から体育にいたるまでありとあらゆる実技系科目で先生に嘆息され「もう少しなんとかならないか」と言われた超不器用で自分に自信がない私でも、全ての実技を納得いくまで体験することができ、また出来ないことは何一つありませんでした。


でも、そばでコーチ役の人が読み上げる通りに復唱したり、行動したりするだけなのに、どれ一つとして簡単に出来ることはなかったので、実際もし応急手当が必要な場に居合わせたら、知識だけあっても、練習したことがなければ何もできないと思いました。


とはいえ、一日講習を受けただけで、衆人環視の中、全く見も知らない人、泥酔しているのか病気なのか分からない人に、心肺蘇生が出来るか、服を切り割いてAEDを使えるか、といったら正直、無理だと思います。


「それは仕方ない。でも、自分の大事な人、家族や恋人だけはせめて守れるようになりましょうよ」と講師の方に言われて、本当にそうだなぁと思いました。大事な人だからこそパニックになってしまうかもしれないけれど、何度も講習を受けて経験を積むことで少しずつパニックの中でも出来ることが増えていくのではないかと。


ビデオで一番最初に
「救命リレーの第一走者に必要なのは華麗な走りを披露することではなく、とにかく走り出すこと、そしてバトンを、スキルと経験豊かな第二走者に繋ぐことです」


というようなことが言われていたのですが、これだけでも今まで学校や運転免許取得の際に受けた講習とは全く違いました。参加して本当に良かったと思います。またぜひ参加して、自分の身のまわりに、自分の大事な人に、何かが起こったときに、最善を尽くし、後悔しないで済むようになりたいと思いました。


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