04/12(土)・04/13(日)HMS貸切@浜名湖

(※2日分なのでいつにも増して長いです。)


交通教育センターレインボー浜名湖にて、貸切HMSを受講してまいりました。このメンバーでの開催は通算3回目で、顔なじみばかりの中、大変リラックスして走れた上に幸いなことに二日とも晴天、気温は20度に達するか達しないかの非常にすごしやすい2日間でした。
イントラさんはS浦さんとF山さん。


車両は初めて乗るCB400の一番新しいヤツで(Revoくんと呼ばれていました)、私レベルですら(私のアクセルのあけ方が雑だから尚更か?)違いが分かるくらい、アクセルのあけはじめが滑らかで、それでいていつものCB400Spec3のように元気よく加速してくれてとても扱いやすいバイクだなぁと思いました。おかげで狭いオフセットスラロームも、縁石が気になる市街地コースも逃げずに1速走行に挑戦できて、有意義な練習ができました。


今回は諸事情により、浜名湖HMSの通常オンロードクラスとの併催となりましたが、おかげで浜名湖プロパーの上級者の皆様の走りを見ることができて大変興味深かったです。桶赤の皆さんとのフォームや雰囲気の違いについていろいろ考察したりもしましたが、第一印象だけ述べておくと、極端な「加速のフォーム」をとらず直線的にパイロンにアプローチして旋回時にぐっとスピードを落として、ハンドルからびっくりするほどとおざかり、くるっと向きをかえる。浜名湖プロパーの皆さんは、外からみると非常に上品で優雅でそれでいて速かったです。

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【旋回時のフォームのこと】


昨年の浜名湖合宿では2日間で一度もコーススラロームを走らず、ひたすら減速のフォームを叩き込まれ、オフセットとZターンで確認する・・・ということをやっていましたが、今回は直線のブレーキングではそれを指摘されず、旋回時の減速のフォームについて指摘されたので、1年間で少しは成長したのだと思ってうれしかったです。


去年の話をしますが、皆さんがコーススラをやっている間、自分は浜名湖の1周1キロの外周コースに連れていかれ、S浦さんから1速でアクセル全開にして、そのあと両手離してみる、という練習メニューをもらい、当然最初は400のエンブレにロデオのように振られて両手どころか片手も離せず、どうやれば恐怖心を感じずに手を離せるのかということを試行錯誤しているうちに自分が今まで「減速のフォーム」だと思っていたものはお話にならないくらい甘くて、「腰骨の角度をかえる」といわれたのはこういうことか、というのが分かってきました。


そしてコース内に戻ってみると、今まで2速でもろくに通れなかった直スラが1速で通れるようになっていて、その魔法のような効果にびっくりしたものです。


今回の魔法は、「旋回の内側の腕を伸ばす」で、今までは、Aパターンの旋回をするときには、ブレーキを使ったあと、上半身から力を抜いてハンドルをフリーにすることだけ考えていて、やわらかく力を抜く=どんな動きにも対応できるように肘関節に余裕を持たせる、という状態がベストなのだと思っていたので、目から鱗のアドバイスでした。


もちろん腕を伸ばすことが目的ではなくて、旋回の外側の手がグリップに届かないのではないかというくらいハンドルを突き放すには、当然相対的にもっとお尻をシートにおしつけてリアに加重することになるので、くるっと回れるようになるわけですが、最初の段階では「旋回時の内側の腕を伸ばす」は分かりやすい指標でした。


1日目、「今のはどうでしたか?意識してみたんですけど?」と言ってもF山イントラに首を振られ続け、1日目最後の8の字で、自棄気味に「いくらなんでもこれはやりすぎだろう」というくらいオーバーアクションでハンドルを突き放してみたところ、お尻の下でいきなりリアタイヤがぎゅぎゅっと鳴ってくるりと回れて、呆然としました。自棄になる⇒「いくらなんでもこれはやりすぎだろう」⇒「こういうことか!」は、去年の浜名湖の魔法とおなじ瞬間でした。


1日目最後の8の字の時は最初の指標である「旋回時の内側の腕を伸ばす」を意識するために上半身に力を入れてハンドルを突き放していたのですが、2日目最後の8の字のときには、それに加えて浜名湖以前から意識していた、上半身から力を抜いてハンドルをフリーにする、というところまで意識できるようになりました。こうするとさらにハンドルが自然に切れます。


ただ、イントラさんや上級者の人はくるりと向きを変えてパイロンの横にきたときには既に上体もバイクも起きていて加速に入れる態勢にあるのに、自分の場合はパイロンの横にきたあともまだバイクが傾いているので不安定で、この状態でハンドルが切れすぎてアクセルをあけずに粘っていたら2回、まったく同じところで転倒しました。まあでも、失速ゴケをおそれてブレーキを離すのが早すぎる、アクセルを開けるのが早すぎる、というのを矯正するためにやっていたときの失敗なので別にどうということはないです。バイクも自分で起こせたので、折れた手首も完全復活でしょう。


今はまだ

直線で減速⇒ハンドルを突き放すくらいさらに減速⇒上半身から脱力してハンドルをフリーにする


と意識が3挙動になっているので、今後の反復練習によって意識しなくてもスムーズに連続してできるようになり、それをコーススラロームでできるようになるともっと走りが変わるんじゃないかなぁとわくわくしています。

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【ライディングポジションのこと】
私にしては珍しく今回の合宿で得た結論から書いてしまいましたが、「浜名湖でもらった魔法」のほかにもうひとつ大きな出来事がありました。
一日目の午前中が終わって、お昼休憩に戻ろうとしているときに突然それはやってきました。


転倒以前の「乗れている」と感じていた
転倒以前の「乗れている」と感じていたときのライディングポジション。


転倒後桶川で4回乗りましたが、下半身がバイクと一体になっているかんじが全くなく、旋回中も常にお尻の位置やステップの上の足の位置を変えて「どうにかしてもっと安定感、安心感を感じられるポジションはないものか」と探っている状態でした。周りの上級者の方からも「ニーグリップがあまい」といわれ、無理やりひざに力を入れてホールドすればたしかに恐怖感はなくなるのですが転倒前はこんなんじゃなかった、意識しなくても、まるであつらえたようにバイクが下半身と一体になっていたのに!と焦りを感じるばかりで。下半身がいつまでもふわふわしているので上半身も頭もまったく動かせず、足元のパイロンばかりを見てしまう状態でした。


そんな状態でも復帰後T木さんのオンロード講習を2回受けて、「旋回速度をおとすな。ブレーキとか小細工に頼るな。バイクを傾けろ。ステップを擦れ。バンク角で曲がれ」という指導を受けたおかげで、だましだまし走れてはいました。これが、きちんとブレーキを使って減速して小さく回り、その後きちんとアクセルをあけて加速しましょう、という講習を受けていたのだったら、400のローでアクセルをあけてずどんと加速するときに、バイクがお尻の下から発射されてしまいそうな不安感があって全然走れなかったと思います。


で、その「旋回速度を落とさないでバンク角で曲がる」走り方でだましだまし走っていると周りからは「随分『乗れてる』状態に戻ってきたんじゃない?」といわれるようになり、自分でも半ば諦めかけ、「転倒前の記憶が美化されているだけで幻想なのかもしれない」「ライディングギアを一新したからもうあのポジションでは走れないのかもしれない。新しいギアにあわせて新しい乗り方をしていかなくてはいけないのかもしれない」と思っていたのですが、それでも諦めきれずにステップの上の足の位置やシートの上のお尻の位置を変えながら走っていると、ランチ休憩に戻ろうとしたところで突然それがやってきたのです。


なんで今までこの位置で乗ってなかったんだろう、と拍子抜けするくらいにしっくりくるポジションが突然見つかって。「これだ!」と思いました。太もものつけね、脛、くるぶし、力をいれて締め上げなくても自然にバイクに触れる位置も、曲がりたいときはここに力を入れてバイクに意思を伝えていた、というのも記憶の通りで。リアブレーキは親指の付け根で踏めるし、シフトペダルの下に左足が入りこむこともない。せっかく革パン買ったのに周りからきいていたのと違ってずるずるすべる、ということもなくて。


もう気分的には背中にバラしょって鐘が鳴り響き、天使がラッパを吹き鳴らしているかんじです。


この瞬間から、全くニーグリップを意識せずに、バイクを信頼しきって、イントラさんからアドバイスを受けたことに積極的に挑戦できるようになりました。これが1日目の午前中に訪れたおかげで、浜名湖の2日間を無駄にしないですんでよかったです。

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【コーススラロームのこと】
浜名湖のコーススラロームパイロンで作ったコースと、市街地コースの選択制でした。2年前、浜名湖の市街地コースをはじめて走ったときには、桶川のフラットなコースと違って縁石と、奈落の底のようにみえる芝生が気になって気になって、カラダが逃げまくり、よけい旋回半径がふくらみ、どんどん縁石に近づいていくという悪循環でした。当時のDVDにはコース案内時に空気を切り裂くような悲鳴とともにみじめに地面に転がる私の姿がしっかりおさめられています。


去年の合宿では、その記憶があったので、恐怖感からフォームを崩して教わったことを無駄にしたくないと思ってコーススラを走りませんでした。


というわけで浜名湖の市街地コースは2年ぶりです。自分にとっては失速ゴケをこわがってブレーキを離すのが早く、かつアクセルのあけはじめが雑、というのが大きな課題なので、エスケープゾーンの大きいパイロンスラロームコースよりは、走れる範囲が制限されて丁寧なアクセルワークが必要とされる市街地コースを走ったほうが勉強になるだろう、と思い、7:3くらいの割合で市街地コースを長い時間走りました。


ここでもT木さんの講習の効果が出て、最初は2速で旋回速度をあまり落とさずにバンク角を深くしてカラダを左右に大きく使って走り、「私はこのコースでも走れる!」と自信を植え付けてから1速で走る、という練習をしました。


課題を克服できていない現在の走り方では1速で細かいところを走るとアクセルを開けた瞬間に明後日の方向に飛び出す可能性があるので、恐怖感でカラダがガチガチにかたまってしまうのですが、T木さんの講習中にバリアブルを2速で2速なりの走り方ができるようになったことに気づいて、今回も同じようにやってみたところ非常に効果的で、2年前はあんなに怖かった縁石がまるで目に入らなくなり、恐怖感なく練習ができました。


以前はこういう走り方をしたくても、旋回速度を残したまま走るという技術がなくて2速でも1速とおなじような走りをしようとしてエンスト寸前まで速度を落としてしまい、怖くて走れなかったのです。T木さんありがとうございます。


で、このコーススラではF山イントラに追走されるたびに「まだまだ全然ブレーキ離すのが早い。絶対倒れないからもっと長くブレーキ使って」といわれ、もうダメ倒れる、アクセル開けたい、と思ったところでぐっと我慢してブレーキを踏み続け、その間にアクセルのあそびをとってじわっとあける、というのを目標にした練習をずっとしていました。


「失速ゴケがこわいんですけど」といってもアツいF山イントラは「絶対倒れん。今のままでも旋回に入る時の速度は俺よりserenadeさんのほうが全然速いもん。コーナー前で距離つまるでしょ。でもいつまでたっても曲がり終わらないでどんどんふくらんでくから立ち上がりではなされるでしょ?絶対倒れん」と強硬に(笑)おっしゃるので、そこまでいうなら、という気分になりちょっとずつでもブレーキの時間を長くしていくことができました。


向きが変わるのに時間がかかるからその間にどんどん失速していく、でもその向きが変わるのに時間がかかるのはブレーキを速くはなしてしまってフロントサスが伸びるから、というのは頭では分かっているのです。だからどんどん失速していってもお釣りがくるようにどんどん旋回に入るまえのスピードを速めていっていたのですが、強硬に「信じてスピードをおとせ。ブレーキを踏み続けろ」というアドバイスは新鮮でした。


2日目の8の字のときも、F山イントラにパイロン間をとても遠く設定され、「アクセル全開全開!」とハッパをかけられ、いざ旋回するとなったら回りきってパイロンの横にくるまでフロントブレーキをかけ続けろ、といわれました。自棄気味にやってみると意外にバイクは倒れないもので、この感覚は忘れたくないなと思いました。減速のためのブレーキや曲るきっかけを作るためのブレーキだけでなく、ちぢんだサスを維持するためのブレーキもあると意識しろとのこと。

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【2日目オフセットスラロームのこと】
2日目はわりときつめのオフセットスラローム(5m幅といっていたかなぁ)がありました。これも前日の市街地と同様、2速であまりスピードを落とさずカラダを大きく使って通りぬける練習をして、自信がついたところで1速で挑戦する、というのを繰り返しました。


前日にライディングポジションの感覚を取り戻したおかげで、下半身に注意を払わなくてよくなり、上半身を積極的につかい、頭を動かして視線を先に先に送ることができたので、通れたのだと思います。また、ライディングポジションが安定していなかったときはステップを踏んでバイクに曲りたい意思を伝えることしかできなかったのですが、太ももの付け根で意思を伝えることによって、ステップを踏む時よりもすばやくバイクを倒すことができるようになりました。多分両方一緒に使えるようになるともっと効率的にバイクがたおせるようになるとおもいます。


1速だと、最初は何度もアクセルの開け際に飛び出して破綻していましたが、隣の加減速練習ゾーンでブレーキとアクセルをオーバーラップさせて丁寧にアクセルをあけることだけ意識して練習して、オフセットゾーンに戻ってきて旋回しながらも同じことを意識しているとちょっとずつ通れるようになりました。アクセルを開けると同時に息を吸ってブレーキと同時におなかから息を吐いて上半身から脱力しながらハンドルを投げ出す、というのを繰り返し、リズムができてくると直スラのように通れるようになってきて、楽しくなってきました。


前日の8の字で「こういうことか」と納得した「旋回の内側の腕を伸ばすことを意識することでリアにより加重する」というのも同時に意識していたところ、S浦さんから「フォームが綺麗ですね」と言われて飛び上がりたいくらいうれしかったです。すごくきついところを走っていてもフォームが崩れていなかったというのはとても自信になりました。


多分桶川で走っていたときは、この間隔のパイロンが連続するとバイクをまっすぐ立てた状態でハンドルをがしがしきりながら千鳥状態でないと回れなかったと思うので、バイクを傾けてブレーキとアクセルを使って走れるようになって楽しかったです。


そういえば今回の浜名湖では一度も自分からハンドルを切らなかったな。復帰してからはUターンなど細かいところではハンドルを切り増すことでバイクが起きて失速ゴケもせず次のパイロンへの道ができて怖くない、というのに頼っていたのですが、今回の浜名湖では自然にリア加重と上半身の脱力だけ意識していると勝手にガツンとハンドルが切れてむしろ後ろを向いてしまいそうになるのをアクセルで元に戻す、というくらいで自分からはきらなかったように思います。

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【直スラのこと】
左右へのふり幅が大きすぎるということと寝かすタイミングが遅いということを指摘されました。アクセルを開けるタイミングは意識していたものの、寝かせ始めるタイミングなど意識したことがなかったので、新鮮でした。パイロンと前輪が重なったらもう寝かせ始めろ、そしてすぐに切り返せ、とのこと。

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【総括】

・ブレーキのときにオーバーアクションなくらいお尻に体重をのっけてリアに加重する。腕ガ伸びきるくらいでよい。
・旋回の前にもっとスピードを落として、かつもっとブレーキを踏み続け、握り続ける。縮んだサスを維持し、タイヤを地面に押し付けるためのブレーキ。その間にアクセルの遊びをとって開けられる準備をしておく。
・バイクがおきようとしているのにカラダがまだ内側にあるから、上体はもっと早めに起こしてもいい。バイクがおきようとするのに逆らわない。
・直線で減速⇒ハンドルを突き放すくらいさらに減速⇒上半身から脱力してハンドルをフリーにする を3挙動ではなく1挙動で行えるように意識する
・曲がる意思を太ももの付け根で伝えるとステップを踏むだけの時よりもすばやく倒れはじめ、旋回半径も小さくなり、旋回もはやく終わる。

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非常に実り多く楽しい講習でした。S浦さん、F山さん、全ての手配を行って楽しい練習ができるようにアレンジしてくれたGさん、一緒に練習してくださったみなさま、どうもありがとうございました。やっぱりバイクは楽しいなぁ。


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