上半身全てで旋回の行く先を見るということ

2年半も前の日記に、バイクを倒すきっかけのひとつとして、他サイトからの引用で「片方のお尻の下に敷いた紙を後ろから誰かが引き抜こうとしているので、その人をにらみつけながら、紙を引き抜かれないようにお尻を椅子に押し付ける」という表現を書いていた。


今、普通のいすに座っている状態でそれをやってみようとしたら、片側(旋回の中心側)のお尻をいすに押し付ける、というのは普段から意識しているためわりあい容易にできるが「後ろの人をにらみつける」段で、自分の肩越しににらみつけようとしていることに気づいてはっとした。


両肩が正面を向いていて、肩越しに後ろをみようとする、だから上半身全部が腰から行き先を向かないでハンドルも切れないんだ。


浜名湖のTイントラは2年前にも1ヶ月前にも後ろから私の名前をよんで、「ほら!振り返るとき首だけ振り返らないでしょ!肩から振り返るでしょ!それが自然でしょう」と言って、次は私の肩を背中側からぎゅうぎゅう前に押しながら、また名前をよんで、私が振り返ろうとしても首しか動かない、という状態を作り出し「今のライディングはそうなってます」というアドバイスをくれた。首だけで行き先をむこうとするのが、2年前も今も変わっていないということだ。


「名前を呼ばれて振りかえる」というシチュエーションを意識すると、ひねくれた見方をすれば、首だけでも振り返れてしまうけれど、『お尻の下の紙を後ろから引き抜こうとしている人』はおそらく私のかかとの後ろ辺りにしゃがんで全身で引っ張っているはずで、斜め後ろの足元に座っている人をみようとしたらどうしても肩越しにはみえないから、肩を開いて背中をひねって見なくてはいけないだろう。


これを走っているときに意識するのは今有効かもしれない。逆算していくと、背中と肩を開くためには腕がハンドルに突っ張らない状態で上半身をフリーにすることが大切で、そのためには下半身がバイクと一体になっていなくてはいけなくて、そのためにはニーグリップをしっかりしなくてはいけなくて・・・とつながっていく。


頭で分かっていてもなかなかハンドルから力が抜けないのだが、仮に上半身がフリーになっても、上半身全部をバイクが今向かっているのと違う方向にがばっと向けるのは怖い。ボトムアップしていったからといって次の段階に簡単にいけるかというとそうでもなくて、準備は整っていてもきっかけは必要ということだ。


この日記にコメントしてくれたはなさんに、「クランクの中でバイクがふらついたとき、アクセルを開ければそこで車体がおきると頭ではわかっているのに足をついてしまうのは、水泳や補助輪をはずしたばかりの自転車で、もう足をつかずにいける実力があるのに勇気がなくて、怖い思いをする前に自分から足をついてしまうときとおなじで、きっかけさえあれば、自信をもって足をつかずにいけるようになるはずですよ」なんてコメントを返したけれど、この上半身ごと行き先を向くというのも同じかもしれない。


3年間書き続けてきたこの日記にはヒントがいっぱいで、まだまだ入門〜初級レベルのころに桶赤の方がアドバイスしてくれて、その意味が今になってわかるようになったこととか、初心者の頃に自分で気づいていたのにいつのまにか他の知識が入ってきて(TKGイントラなら「余計な知恵がついて」というところだろう)忘れてしまったこととか、いろいろかいてある。


たまに読み返すのも、感傷に浸る以外の実用的な意味で有用かもしれない、と思った。


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