05/09(土)HMS貸切@桶川

久しぶりのHMSにやってきました。車両はVTRの3号車。タイヤは前後ともにほぼ新品。今年になってからバラ1に2回出ましたが、通常のオンロードクラスに出るのは1月以来。その後、HMS以外の場での練習を続けて、一番変わったのは「フロントブレーキが使えるようになった」こと。正確には「今まではフロントブレーキを使っていなかったことにきづいた」ことでしょうか。


・フロントブレーキでフロントフォークを縮めて曲がれるようになった。
・リアブレーキで減速せず、フロントブレーキで減速するようになったので、リアロックがほとんどなくなり、アクセルを思い切って開けられるようになった。
・従来よりバンク角が深くなり、リアブレーキに頼って旋回半径が膨らまないようにしていたためにリアロックを恐れて一定以上の速度で旋回できなかったのが、バンク角でおさえられるようになり、旋回速度が上がった。


このあたりが変わったところだったので、大好きなHMSパイロンコースでどれだけ違いを実感できるかとても楽しみでした。


標準空気圧へのセッティング(いつもイコールコンディションで練習しないと、「自分がいつもと違うのか、車両がいつもと違うのかわからない」から)もずいぶん馴れて、以前はバルブを手ごろな位置に持ってくるための取り回しですらろくにできず前にいったり後ろにいったり、エアゲージを垂直にあてることもうまくできずどんどん空気が抜けてしまい・・・と大層時間がかかったのですが、最近ではリアホイールもその場で回せるようになって、さっさと済ませることができるようになりました。


これだけ成長しているならライディングも変わってるかな。
あんなに苦労したバリアブルのあのUターンもこのUターンもらくらく曲がれちゃったりして。
あのS字の旋回速度もあがっちゃったりして。
んふふふふ。


ところが・・・。そうは問屋がおろしません。


慣熟走行から、あれ????
フロントブレーキがつーん。確かにフロントが沈む感覚があります。HMSで練習をしていたときには、フロントブレーキを握っている意識はあってもこんなにフロントが沈む感覚はありませんでした。ブレーキングフォームも変えて、一瞬バイクが先に走っていってしまうんじゃないかというくらいの両手を突き放すような先行動作、も大分板についてきて、やっぱり「使った気になっていたけれど使えていなかったものを使えるようになった」はずなのに・・・。


フロントブレーキを握る。そして車体とフロントタイヤに「曲がりたいよ」という意思を伝える・・・とお利口VTRはすばやく意思を汲み取って曲がってくれる・・・はずなのに!
まがらない!!!!


こっ・・・こんなはずではと焦り狂いながらも、普段はいているタイヤとの旋回性の違い、ということがおぼろげに頭に浮かんできて、フロントブレーキだけではなくて、そのサスを縮めてホイールベースを短くした状態で曲がるための働きかけを普段よりも意識してやってあげないといけないということに気づく。そっそうだった。私はフロントブレーキを使えるようになっただけじゃなくてバンク角も深くなっ・・・


ぬあああああちょ、ちょ、ちょっと待って!バンクしていくときに何の抵抗もなくすとーんと倒れていくんですけど!なんかこう、地面に粘りつくかんじっていうかグリップしてるっていうかそういうのないんですか?!


なんか奈落の底に落ちていくような感覚で怖すぎます。


ぜんぜんバンクできず、どんどん膨らんでいく旋回半径。はうあー。でもここでリアブレーキ踏んだらまたリアロックしてお尻が流れて恐怖で体が固まっての悪循環・・・耐えるのよ!ブーツのバンクセンサーを一度も摺ったことのない私のヘタレバンク角ならノーマルタイヤだってぜんぜん問題ないはず!さあハンドルをおさえまくるその上半身の力を抜いてバンクするのよ!


ざりざりざりざりざりっ!!!!


バンパーが。バンパーが接地して怖いです(涙)。今までHMSで走っていて、バンパーが接地することなんて1日に1〜2回しかなかったのに。しかも今まではその2回に1回はリアタイヤが浮いて足払いをかけられたように瞬間的に転倒しているので、軽いVTRから衝撃が全部体に伝わってきてその都度からだが震え、心臓がのどまで飛び上がりそうにどきどきします。


もう午前中は踏んだり蹴ったり。「どんな車両でもどんな環境でも練習は練習。これだけいっぱい練習してきたんだから少しは上手に走れるようになっているはず」という焦りと、「いつも乗っている車両とぜんぜん違う。曲がらないし傾けるとバンパー接地して怖い」という恐怖感で、上半身ガッチガチ。


桶赤の皆さんから「すごい力はいってるねー」「力を抜いて7割の力で走ってごらん」と次々にアドバイスを受け、落ち着いて力を抜き、7割の力で走る・・・と言い聞かせて走ると少しずつ、このタイヤで車体がバンクするときの感覚に慣れてきました。力を抜いて走ってもそれほど平均的なペースが落ちないのは、地力がついてきたということなのかも、と自分を慰めました。


あとは、先日雨天の練習で、師匠にいつもいわれる「アクセルオンのときはニーグリップに頼るんじゃなくて、むしろニーグリップは緩めて、上体・腰の角度で加速Gの力の方向とバランスをとって後輪にトラクションをかけて、アクセルを開ける瞬間に後輪をお尻でおさえる」というのがなんだか急に体感できて、アクセルを開けることは怖くなくなったっていうのも大きいかと。タイヤに不慣れだとはいっても、加速時の不安感は全くありませんでした。


今日の目標は、「大排気量車を追っかけるためにVTRらしいラインで走る」ことと、「上半身を積極的に進行方向に向けるライディングフォームになるようがんばる」ことだったのですが、両方全くもってだめだめ。VTRらしいラインで走るには、スピードを落とさないようにしっかりバンクさせて大きなラインで入らなくてはいけないのですが、タイヤの感覚の違いやバンパー接地を恐れてバンクすることを怖がり全く車体の向きが変わらないので、大きいラインをとればとるほどスピードが落ちていきます。


フロントブレーキが以前より使えるようになっているのは確かなので、今日はフロントブレーキを使いながら直線的に進入するラインで走ることにしました。そのほうがバンクしている時間も短いし、安定して走れると考えたので。@sushiさんに1300で前を走ってもらいましたが、本来であれば 1300の2速のラインのほうがVTRにはしっくりくるはずなのに、1速の走行ラインをたどったほうが今日に限っては安定して走れるということです。


ちなみに一日の走行が終わってフロントタイヤを見たところ、ほぼ新品タイヤだったのがポン・デ・ライオンみたいになっていて、HMSで自分の乗った車両のタイヤがこんな風になったのは初めてなので、やはりフロントブレーキはちゃんと使えていたのだとおもいます。ゴムの塊が右サイドはタイヤのぎりぎり端にあり、左サイドは少し内側にあるところからは左のほうがバンクが浅くてあまりタイヤを使えていないことがわかります。
 


桶赤の方々に前や後ろを走っていただき、複合コーナーを1つのコーナーとして加減速を細かくいれずに走りぬけるほうがよいラインを教わったり、「その次のコーナーで効率よく開けていくために捨てる箇所(いちいち加減速せず向き変えに徹する箇所)」を教わったりしました。


師匠の居ぬ間に洗濯・・・と思って臨んだHMSですが、あああ師匠が見ていたら「それいつも言ってるだろー!何度も同じこと言わすなー」と怒られるところだ・・・と思い、「2つ先のコーナーを見ろ!・・・遅―い!」「マシンのせいにするな!」とどんどんエスカレートする脳内の仮想師匠の叱責に (((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブルでした。


いずれにしろ自車両はまだ加速性能がよいのでごまかしてしまっていましたが、自車両よりも加速に劣るノーマル車両の特性ではラインどりをきちんと考えないとペースがどんどん落ちていくので勉強になりました。


上半身を積極的に進行方向に向ける・・・は、バンクしている時間を短くして向きを変えるためにいつも以上に必死にやったつもりですが、緊張で上半身ガチガチになっているので±ゼロだったかな・・・。前回HMSに出た時までは、「自車両より乗りなれたHMSの車両のほうがうまく走れる気がする。ジムカーナの怖い環境よりもHMSのほうがのびのび走れる気がする」と思っていて、こういう環境ならじっくりとフォームを見直せる、今まで怖いと思っていたことも挑戦できるだろう、と思ったのですが、今回はそれが逆転していて自分でもびっくりでした。


午後のオフセットは、逆に「これなら得意。小岩でも走ってるし!」と思ったのですが、これもまたバンクするたびに設置するバンパーに悩まされました。怖いけど傾けなきゃいけない、得意なんだから傾けられるはず、と思うことで、リーンアウトのとっても不思議なフォームで走っていたようです。大会のウォームアップでもよくスタッフの方に「リーンアウトになってるよ!」といわれるのですが、低速セクションで意識してやるリーンアウトではなく、スピードの乗ったセクションでリーンアウトになるときには「怖いけど傾けなきゃいけない」という気持ちであせっていることが多いように思います。


細かい切り返しでは、VTRだからとおれているけれど、本来は最後にもう1歩、ハンドルが切れるはず。ホイールベースが大きくて重い車両だとそうしないと通れないけれどVTRだからごまかして通ってしまっている。というところを何人もの桶赤の方から指摘されました。


ジムカーナの細かいセクションでもいつもぶつかるところです。低速できちんとブレーキを使い、かつハンドルをおさえずにバイクが倒れこむ、ハンドルが切れる、のに任せる勇気。


桶赤の方のアドバイスにしたがって
「フロントブレーキを使うだけじゃだめ。ステップの踏み込みが足りない」
「バイクを起こして直線を作るのではなくて、直スラが横にオフセットされたと思って、バイクを起こした勢いで反対側に倒しこむ」
ということを意識しましたが、結局ハンドルを押さえてしまっているので大回りになってしまいます。無理やり最後にハンドルを切り増せばロックまではもっていけるのですが、変なリーンアウトもどきになっているし、バイクがひょこっと起き上がってしまって、しかも本来は向きを変えているべきタイミングになってようやくロックに当たるので意味ない。


桶赤の方に「フロントブレーキを使うけれど腕に力は入れない、というのは絶対意識しないとできない」といわれて、とにかくそれだけに集中して、フロントブレーキは使うけど腕の力は抜く、とそれだけ考えてやると、3回に1回くらいは旋回の真ん中くらいで(前半まではいかないものの)自然にスコンとロックまで切れて、バイクがきれいにパイロンを回り込んでいく感覚がありました。「これか!」と思う感覚。


3回に2回は、フロントブレーキを使いながら力が抜けないでハンドルをおさえてしまうか、ハンドルから力は抜けたけれどブレーキからも力を抜いてしまっているので大回りになってしまうか、でした。


直スラはわりと気持ちよく通れたのですが、間隔が広めだったため、車体を立てたまま、左右にあまり傾けずにするすると通っていたつもり・・・しかし、自車両と違ってバンパーが大きいので、バンパーが設置しないようによけて通ると横の無駄な移動が多くなるみたいです。左右に自分の頭がぶれないように、バイクを動かす。自分が動くのではなくてバイクを動かす。もうすこし積極的にバイクを倒してもよかったかも。


オフセット復路はVTRだとあっという間に吹けきれてしまう長い直線があったのでシフトアップ&シフトダウンの練習に挑戦。自分なりに必死に練習していたのですが・・・


「せっかくブレーキングしながら進入する練習してるなら、あんな絶好のコーナー捨てちゃだめだよ」と一刀両断。いや、捨てていたわけではなく毎回全力、決死の覚悟でシフトダウンしてコーナーに飛び込んでいたのですが・・・。相変わらずシフトダウン下手です。


バリアブルは、パーシャルとは名ばかりの、アクセルを開けることも閉じることもできず失速ゴケしないように「早く向き変われー」と祈るだけになってしまうラインを、どうやったら効率的に走れるのか、を桶赤の方に教えていただきました。


「書いてあるラインどおり、置いてあるパイロンどおりに馬鹿正直に走りすぎ・・・」と呆れられ、何度前を走ってもらっても、うまく走れないところに限って自分がコケずについていくために精一杯なので先導車のラインが見えない、見えてもどうすればそのラインに乗せられるのかわからない・・・というのはいつものとおり。


「すみません見ても後ろを走っても分からないので答えを教えていただけますか?」と、マニュアル人間らしい恥ずかしくも情けないお伺いを立てると、その前のUターンを深く回って、件のラインのスタートラインにつく頃にはバイクの向きが完全に変わっていて即アクセルを開けられる体勢になっているべきだという「正解」を教えていただけました。


ああなるほど!そういわれて早速バイクに乗ってみて走ってみるとなるほどアクセル開けられる!以前は頭では分かっても「その前のUターンを深回り」のところで挫折していたと思うので、それができるようになったところはまあ成長かなぁ・・・。


1週間後、D杯の会場にて。


2ヒート終えてイマイチな走りでぼーっと「HMSイントラ休憩ゾーン」のそばに立ってシード選手のウォーミングアップを見つめていると、MKWさんが声をかけてくださいました。
MKWさんは私がジムカーナをやっていることはご存じなかったようで驚かれていて、
「車両はなあに?」
「VTRです」
「ああ〜だから最近HMSでもVTRに乗ってるのか〜」
「そうなんです。先週久しぶりにこっちにきてVTRに乗ったら、全然上手に乗れなかったんですよ・・・。いっぱい練習したから上手になったかな、速くなったかなと思って自分でも楽しみだったのに・・・」としょんぼり笑顔を作ると、色々と勇気の出る言葉で激励してくださいました。


よし!よし!頑張るぞ!


さらに、D杯の日の桶赤は、荒天の予報をものともしない猛者だけが集まってしまったためえらい濃い面子(知っている人しかいない)で、その修行のような走りをかなりじっくり見る機会があったのですが、以前はただ「速いなー凄いなー猛々しいなー」と思うだけだったのが、ただ「なんか凄い」だけじゃなくてどのへんが凄いのかっていうのが少し分かるようになってびっくりしました。


よく英会話の教材で「ある日突然耳に入る英語が意味をなすようになった!」みたいな広告がありますが、あんなかんじです。


桶赤の女性の、私が師匠にいくら言われてもできない進行方向に向かって自然にカラダを開くフォームに目を奪われ、上半身の無駄のない動きからは汗ひとつかいていないようにみえるのにフロントフォークがめっちゃ沈んでいることに目を見張り、しかも減速から旋回に入る動きが完全に1挙動でなめらかで・・・


水面上で優雅に泳ぐ白鳥の水面下での動きは超絶アスリート、みたいなそういうイメージが頭に浮かびました。まあ凄い人の凄さが分かるようになったってだけでも少しは成長なのでしょう。多分。


どんな環境でも、どんな車両でも、練習は練習。環境が変わった途端にすぐにそれを引っ張り出すことができなくても、少しずつ地力はついていると思って(言い聞かせて)練習したいとおもいます。


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