09/01(水)HMS中級@桶川

平日のHMS中級に参加。KTDイントラと受講生5人。


青VTRが一台しかなく、フロントタイヤが土星のような減り方をしていたので(いったい誰が乗ったんだ!)ほかのVTRはないですか?ときいたところ、「借り物なんですけど・・・」と赤の初期型VTRを出してきてくれた。和光で何度か乗ったことがある。タコメータなし、ハンドルも遠くて低い。加速時のパワーもある。なにより、バンパーが小さい!


私の自車両よりバンク角があるのだが、自車両よりもタイヤがシャビーなので、気持ちよくフルバンク中にガバ開けすると滑りまくる。何度かは途中でグリップが回復して冷や汗もかいたが、反対側に放り出されるほどのパワーはなく、突然跳ね起きてすごい勢いで直進するだけなので、助かった。400では同じケースでしがみついた結果放り出されてぐちゃぐちゃにされたので。


自分の今日の目標は、「普段は軽い自車両を力でねじ伏せて走ってしまっているので、今日はリーンウィズとセルフステアを意識して、無理・無駄のない走りのヒントをつかみたい」と朝の時点で伝えてあったのだが、KTDイントラはかなりこの要望を意識してメニューを作ってくれたようにおもう。


まずはバリアブルを自分のペースで走って、自分の調子や課題を意識する。


自車両に003をはいていたときには、バンクして途中でぴたっととまるような倒れこみ方をするのに慣れていたため、HMSの車両に乗って、際限なく、かつ頼りなく倒れこんでいくツーリングタイヤでバンクさせるのがとにかく怖かったのだけれど、Unbeatenは003よりもツーリングタイヤの素直な倒れこみ方に近いようなので、割合早く馴染むことができた。とはいえ、ブーツを摺るような角度までは怖くて持ち込めない。


バンクでごまかさずにきちんと旋回の都度速度を落として、リア加重でハンドルを切って曲がる・・・と意識するのだが、どうしても車両が起き上がってしまってハンドルがうまく切れず、ぎこちない走りになってしまう。フロントブレーキもリアブレーキもとびきりよく効くのだが、はたしてかけながら倒しこんでいったときにどれくらいもつのかもわからず、ついついブレーキが終わってから倒しこんでしまうし、逆にいえば、ブレーキが終わってから倒しこむ(フロントが沈み込みから回復しかけている状態で倒しこむ)のでもそこそこの半径で曲がれる程度まで速度をおとしすぎてしまっているようだ。


と、このあたりまで自覚したところで、休憩&今度はイントラさんの課題に従って走る。


課題は2速縛り。2速で、かつ「ゆっくり」走るのだという。そして


「体の軸がバイクの軸よりも外側に逃げないように。目安として、ミラーがあるとおもって、ミラーよりも頭が内側に入るように。」
「内足を軸にして、外足の膝をタンクにかぶせるように、腰から動かして、ハンドルを握った外側の手を送り出すように。ハンドルと肩を結んだ線が最後まで平行になるように」


慣れてきたら、3速にあげて、アクセルをあけたときにノッキングが起こらないように、と指示がある。旋回時にスピードを落としすぎない、それでいて同じ半径で曲がるためにしっかりバンクさせるってことか。私が最初うまく走れなかったのは、ハンドルを切る(ハンドルが切れるのを邪魔しない)ことばかり考えて、バンクが足りなかったからなのね。


慣れないタイヤでバンクさせるのは怖いが、2速、3速で速度を落としすぎるのはもっとこわいので、バンクさせるようになるし、その速度でバリアブルの狭いUターンを通るために自然と体も積極的に動かせるようになる。


頭がミラーの内側に、というアドバイスはなかなか興味深く、普段から軽い車両を膝下で押し込んでリーンアウト気味に深いバンクを作っていて、どうやってリーンウィズになるのかわからない、と困っていた自分に、新しいアプローチの仕方のヒントをもらった気がする。頭だけ入っても仕方ないと漠然とおもっていたけれど、体を一直線にしようとしてもできないなら、頭を先にあるべき場所に持ってきてしまうというのもアプローチのしかたとしてあり。


そして、次の指示は、
「体の軸を内側に入れていく、その動作の速さをかえてみる」
「大きい旋回ならゆったり、小さい旋回なら早く」
ああなるほど、体をうごかす量は変えずに速さを変えるのね。
小さいコーナーでぱたんとすばやくうまく倒せなくて、結局リーンアウトで押し込んでしまっているけれど、(速く走るためにはそれが効果的なことももちろんあるけれど)できないのとやらないのは違うので、小さいコーナーでリーンウィズですばやく倒しこむこともできるようになりたい。


すばやい倒しこみ、というのはずっと課題だったが、速度を落とせない2速・3速縛りで、270度以上の小さいコーナーを走るという練習で少し速く倒せるようになった気がする。


で、午前中最後は1速に戻して同じコースを走る。最初はエンブレにとまどい(いつも4000回転くらいで走ってるからね・・・)2速、3速のときと同じコーナリングスピードがなかなか作れなかったが、コーナリングスピードが作れるようになると、朝イチのときとバンク角が全然違う。


KTDさんに追走してもらい、「右旋回は完全に体の軸が内側に入っているが、左旋回では少し外側ににげている」とアドバイスをもらったので、左旋回のときにオーバーアクションでインに傾くようにしてみたら、あれほど苦手だったバリアブルの3連続Uターンでブーツ摺りながら曲がれるよ!KTDさんありがとう!


そんな感激の中、午前中終了。
イントラさんの言うとおりに練習すると、やればやるだけノーマル車両がうまく乗りこなせるようになってくる。これは面白い。


以前だったら、練習メニューの目的は頭でわかっていても、恐怖心が邪魔をしてやるべきチャレンジができず、ずっと自分が怖くないと思える範囲の走りしかできなかったけれど、ちょっとくらいバランスを崩して怖くても、うまく走れるようになるならやってみたい!という気持ちでイントラさんの課した課題に取り組めるようになったのかもしれない。HMSを離れて相当メンタルが鍛えられたようだ。


午前中の最後は、慣れないタイヤでも深いバンク角が作れるようになったのが面白くてついついがんばってしまったので、「速く走る練習のためにきたわけじゃない」と思い直して午後に臨む。


なのに午後は新コースを目いっぱい使って、半分が大きな定常円だったりする高速コース。ああタイヤさえプロダクションタイヤならもっと気持ちいいのに・・・とおもいながら当初の目的を忘れて走る。


事務やる前は、こういう高速コースが何より苦手だったよなぁ。バリアブルとかちまちましたオフセットはそんなに回りにおいていかれないのに、定常円とか、何も余計なことしないでアクセルあけっぱなしにしてバイクに身を預けるとかそういうのが一番怖くて、高速コースになるとどんどん後退して・・・と懐かしく思い出す。もちろん自車両でほどは速く走れないけれど、安全マージンを取って走っても、景色がとんでいくスピードが以前と全然違う。


あと、意識しなくても「スタートから1本目までのパイロン」「セクション間のつなぎ」を全開で走れるのも、以前と違う。(若干浮いてる?)


感慨にふけりながら、かつ午前中の課題を反芻しながら後半のオフセットを走っていると、フロントブレーキレバーをパイロンにぶつけてふっとんだ。恥ずかしい。


KTDさんの追走では、「左旋回も軸が内側に入るようになったけれどまだ頭が逃げている」といわれた。走行写真や動画でたしかにその図は見覚えがある。せっかくの練習のチャンスなので極端に頭を内側に入れて、走ってみるが、視界が全然違って超怖い。みんなこんな視界で走ってるのかなぁ。それとも私があさっての方向を向いて走ってるのかなぁ。


新コースのあとは、メンバーの一人の要望を容れて、2本の平行に並んだ直スラ。左の直スラ数本の最後のパイロンと右の直スラ数本の最初のパイロンが同じ位置にあって、S字型につないでいくパターン。ジムカーナでは「きつい直スラ」なんてのはめったにないので、これは楽しい。S字部分で、私の苦手な小さくて角度のきついターンをすばやく切り返す練習もできるし。とおもったのだけれど、つい直スラが楽しすぎて、フォームやらなにやらの御託を全部忘れて全力で速く走ってしまった。


自車両はアイドリングも高いし、ほとんどエンブレやドンつきがなくて、その上事務のコースでは直スラの間隔は広くて、「いかにタイムロスせず直線的に、むしろ加速しながら通り抜けられるか」が勝負みたいなところがあるので、「いかに車両のドンつきをしなやかにうまく操って障害物を華麗によけながらとおりぬけるか」みたいなHMS的直スラの醍醐味はない。アイドリングが低くてパワーのある初期型VTRは、HMS的直スラを楽しむには最高の相棒で、この時間は疲れたが非常に楽しかった。


午後の最後は朝走ったバリアブルとほぼ同じコースを再走。コーナリングスピードも上がった、バンク角も深くなった、でもタイヤがもたない。バンクしながらコーナーに飛び込む、もしくはコーナーからの脱出でバンクしたままアクセルを開けるとどうやってもリアタイヤがザーザー滑ってしまう。コーナリングスピードをあげられないならもっとブレーキポイントを遅らせて直線で稼ぐか?でもこれ以上フロントブレーキをかけながらコーナーに飛び込むとたぶんフロントも破綻する。


いったいどうすれば?もっと速い人はどうやってはしってんの?


そこで、今日の目標のひとつであった「リア乗り」を思い出す。馬の手綱を引いておもいっきりブレーキをかけるイメージでお尻に乗っかってコーナーに飛び込む。最初は均等に後ろに体重をかけていたが、外側のお尻を浮かせるイメージで内側のお尻に全体重をかけて「手綱を引く」とコーナーの進入でタイヤが滑らなくなった。で、そのままアクセルをあけると脱出でも滑りづらくなった。おーなるほど!なんでこれを思い出すのが15時半なんだ?


日が落ちてきてちょうどうまい具合に目に入るところに影が落ちていたので、さらにいつもの超前傾のフォームではなくて、体を起こした、自分的に「かっこいい」と思えるようなフォームで走ってみることにした。ゴールからスタートまでの徐行区間の直線でそのフォームをチェックするのだけれど、自分ではえびぞりに近いくらいのつもりで胸を起こさないと、かっこいいと思えるほど体を起こしたフォームにならなかった。


すごく目線が高くて、地面から離れていて、車体がまっすぐのときとバンクしたときとで目線の高低差が激しいので、バンクさせるのは怖い。ただ、特にリア加重を意識しなくてもリアに体重が乗りやすい。あまり激しく「手綱を引く」ようなイメージを持たなくてもリアが安定して、向き変えもスムーズになった。小さい切り返しでは上半身の移動量も大きいので遅くなるんじゃないかとおもったが、むしろ慣れない走り方なのに周回が速くなったような気がする。


これ、これだよ!思い出したくもない雨のD杯2戦でやらなきゃいけなかった走りは!!!どうか次の雨の大会まで覚えてて!


というわけで、バンパーの小さい赤VTRのおかげではあったけれど、終始非常に楽しく走れて、「基本を思い出して走りの引き出しを増やす」という目標の達成度もかなり高くて、有意義な一日だった。一度桶川のバリアブルをあの赤VTRで走ってみたいとおもっていたので、思いがけず夢がかなってとてもうれしかった。


それもしてもHMSの人たちはなんであんなに体力あるんだ? 早々に一人だけ自主休憩をとっていた私ですら67km走っていたので、ほかの人は炎天下で自主休憩なしで75kmくらい走っていたとおもうんだけど。


HMSに足しげく通っていたころは、同じように無限ループで走り続けたあと5時間も駅前で飲んで電車で平気で往復していたなんて信じられない。加齢か・・・。


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