11/08(土)HMS中級@桶川

桶川に来たのは09/20のHMS中級以来です。
10月はジムカーナの大会・練習会がたくさんあったので一度も桶川に来ませんでした。
1ヶ月まるまる桶川を離れるのは右手骨折して療養した今年の2月以来です。


VTRの5号車、イントラさんはM川さんとS山さん。今日のM川さんはいつものように感覚や擬音語を多用するのではなく、なるべく分かりやすい言葉で説明しようと苦心されていた気がします。


あとは、「上級に行きたいと思っている人がいたら事前にゼッケン番号を申告してください、今日一日走りを見て終わった後アドバイスをします」というような試みも行われていました。今までも非公式にイントラさんが「そろそろ上級でもOK」とアドバイスすることはあったけれども、本部からそれをちゃんとオフィシャルにやれ、という通達がきた・・・とのこと。


私は10月まるまる桶川に来ていないので、人づてに聞いただけですが転倒者にアンケートをとるようになったとか、色々とHMSも変わっていくのですね。


今日のコースでも直線が何箇所か設けられ、積極的にギアチェンジを行って、(≒ローギアで爆走するだけではなく)バランスよいライディングができるようになってください、とおっしゃっていました。16時を過ぎて講習が終わった後も、「ツーリングだと思って走行してください」といわれてトレインでゆっくりとバリアブルやオフセットあたりを走行したりもしました。


上級の敷居がべらぼうに高い、常連さんが集まってマニアックなスポーツライディングを追求するスクールではなくて、交通安全教育のためのスクールという色を(少なくとも建前としては)強めていくのでしょうか。


個人的には桶川の色を薄めるよりも、魑魅魍魎の集まる和光のスラロームスペシャルを『初級』と銘打つことから変えたほうがよいと思うのですが・・・。


最近の私は期せずして(本当に期せずして)早く走る練習や千本ノック的な走りこみは事務練でしているので、HMSはイントラさんのアドバイスを聞けて、イントラさんが設定する課題に挑戦しているうちに、独りでは見つけられなかった回答や、アプローチの仕方が見えてくる・・・というような場であってくれるとうまいこと棲み分けが出来ていいなぁなどと思うのですが、はてさてどうなることやら。


さて、私の今日の自己紹介時に挙げた課題は
リアタイヤにうまく荷重を載せられなくて、軽くリアブレーキをかけるだけですぐにリアタイヤがロックしてしまって怖い思いをするのでうまくリアタイヤに荷重を載せられるようなライディングを身に着けて帰りたいです」


今日のHMS中級は私のこの課題にとても『効く』メニューでした。


朝は2速・3速指定のオフセットに始まり、そのオフセットパイロンを目印にしたブレーキングの練習では、急制動やただのストップ&ゴーではなく、パイロンで、「そのパイロンを曲がることをイメージし、そのパイロンを曲がることができる速度に落とす」という目的が与えられました。


私はこの練習をしながらどうにかしてリア荷重を「結果オーライ」ではなく自分で意識して、思ったときに思ったように出来るようにならんものかと四苦八苦していました。


フロント荷重は、ブレーキ時のGに対抗してフロントタイヤを押さえつけるかんじ、というイメージができるのですが、そうするとどうしても斜め上から押さえつけるようなイメージになってしまってお尻が浮いてしまうのです。


フロントはぎゅーっと押さえつけた瞬間にハンドルがきりやすくなるのが伝わってくるのですが、リアはうまく乗れたときにはその場で拍子抜けするほどバイクがくるっと向きを変えるかわりに、うまく乗れないときには回るのを待っているうちに結局曲がりきれず、うまくいったときもいつも結果オーライ。


これに悩んでいたら、M川さんが、「リアに荷重をかけるタイミングがずれている、早い」とアドバイスをくれました。リア荷重を意識するあまり、ブレーキングの瞬間にフロントをぽーんと開放して、リアに乗っかってしまっているからフロントサスもちぢんでいなくて、フロント荷重もリア荷重も中途半端になっているとのこと。まずはフロントに荷重し、これだけグリップさせれば大丈夫、もうこれ以上はフロントへの荷重は必要ないな、と思ったらそれをそのままリアにもってくる。


ジムカーナの先生にもリア荷重の仕方を聞いても「フロントかリアか二者択一じゃなくて両方一緒にやるんだよ。ハンドルは下から上に押し出すような感じで、シートにお尻をおしつけて、同時にフロントもおさえつける」と教わっていたのですが、頭の中ではイメージできてもバイクに乗るとどうしても二者択一になってしまっていたのですが、突然それがバイクの上でもおなじイメージを持てるようになりました。


壁の前に大きなダンボール箱があって、そのダンボール箱に背を向けてお尻で押して動かしたいとき、ただお尻で押すよりも、壁に手をついて壁を押す力の反動で動かしたほうが簡単に動きますよね?壁に手をつくのがフロントタイヤを地面に押し付ける、お尻でダンボールを押すのが、お尻でリアタイヤを地面に押し付ける、ということなんだと思うんですが、それがようやくバイクの上でイメージできるようになりました。壁を押すときも最初から腕が伸びきった位置に壁があったら押せなくて、腕をたたんだ状態からぐぐぐぐぐと腕を伸ばして壁を押すほうが力が出せるわけですから、上腕に力を入れてハンドルに突っ張るのとは違うんですよね。


この練習をしたおかげで、午前の応用走行、バリアブルとオフセットをつなげたロングコースでは、Uターンやきつい切り返しが拍子抜けするほど簡単に感じられました。今まではUターンで曲がりきれるかどうか、速度が落ちきる前にちゃんとバイクの向きが変わってアクセルをあけてもよい状態になっているかどうかどきどきして祈るようにバイクの向きが変わるのを待っていたのですが、「フロントブレーキでフロントサスを縮めタイヤを地面に押し付ける」「その力をそのまま平行移動してリアタイヤに持ってきてリアタイヤを地面に押し付ける」に+して上半身を進行方向に一気に向ける、旋回の外側の腰骨を斜め上からタンクの上の給油口にたたきつける、といういつもの旋回のきっかけを与えてあげると、あっという間にバイクが向きをかえています。


ただし、これだと細かいセクションで一気に向きを変える旋回ができてなんだか上手になったような気がして気持ちがいいし、かつタイヤをめちゃめちゃ地面におしつけているのですごく安定感があり、怖くないのですが、コーナーごとに速度・回転数が落ちすぎてしまうのです。十分に減速してくるっと向きを変えてドカンと加速できる大排気量のマシンならいいのですが、非力なVTRくんは旋回を終えた後速度に乗るために四苦八苦。大きいRの複合コーナーではフロントブレーキをかけすぎてふらついてしまったり、角ごとに止まるような走りになってしまってうまく走れませんでした。


あと、直スラのときのようにたたんだ肘が上にあがりすぎて、(意識しないとすぐにこうなってしまうのは私のクセなのですが)パイロンにぱかぱか当たっていたので、力を抜いて肘をたたんで走るようにしようと思いました。



さて。午前中はこのブレーキングの練習をして、午後はパイロンがない空間で、このブレーキングでフロントとリアに十分に荷重をかけた状態から、主に下半身でバイクに曲がるきっかけを与えてあげるという練習をしました。パイロンのない空間でオフセットのイメージ、直スラのイメージを練習した後は、実際パイロンがあるところでの練習。


左右の切り返しが早く、かつアクセルをあけたときのドンツキが全然ないVTRでの直スラは反則といっていいほど簡単で楽しいのですが、パタパタと全身で左右に切り返すのではなくて、パイロン1本ごとに丁寧に加速、減速、減速のポジションがから太ももより下でバイクに曲がるきっかけを与える、というのを意識するとかなり下半身が疲れます。VTRではブレーキを使うと簡単に切り返せてしまうので、ブレーキを使わずにアクセルのオンオフだけで頑張りましたが、不等間隔の箇所では、間隔が長いところから短くなったところではそのポジション作りもすばやくやらなくてはいけなくて面白かったです。


直スラではM川さんに二度「おっけーい!」と言っていただけて、テンションが異常にあがりました。


オフセットでは、この下半身で曲がるきっかけを与える練習をしていたおかげか、なんだかステップを斜め前方(旋回の外側の円周上)に向かって蹴りだすようなイメージを持つとさらにリアに荷重しやすいような気がしてきました。


今までは「ブレーキングのときにステップの上で踏ん張って前方に蹴りだすようなかんじって分からないかな?」といわれても、ステップは下についているんだから踏ん張ったら上に荷重が抜けちゃう。加速のときにクラウチングスタート的に後ろに蹴りだすのはステップの位置的になんとなく分かるけど、加速のときも減速のときもステップの位置は変わらないのに、加速のときは後ろに蹴りだし、減速のときは前に蹴りだすなんて物理的に不可能だよ。って思っていました。


でもブレーキングと旋回を2つの挙動に分けるのではなくて1挙動にすると、旋回中はステップを真上から押すのがイコール円周の外側にむかって内側から押し出すことになるわけで、リアタイヤにお尻をおしつけつつタイヤを地面に押し付けることもできるんですね。これを百発百中、意識しなくても自分の全ての旋回で当たり前のように出来るようになったら、高速からのブレーキングと旋回も怖くなくなりそう!と思いました。


高速からのブレーキポイントがやたらと早くなってしまうのは、ブレーキを強くかけてリアタイヤが流れても立て直せるだけの空間を取った状態でしかブレーキがかけられないからで、旋回と減速を同時にすればするほどリアタイヤにちゃんと荷重がかけられてブレーキがロックしなくなるんだって体に覚えさせることができれば恐怖感なくブレーキがかけられますよね。


などと思い始めたところで、課題コースは移動して市街地&新コースへ。「とまらずに走る」ことが必要なコーススラロームと高速からの旋回は私の大の苦手。頭の中では高速旋回を克服するきっかけをつかんだつもりが実際は全然うまくいきません。


新コースの外周をぐるっと半周する大きな弧上では、
「まずはアクセル全開まであけて加速感にびびらない練習」
「次にシフトアップ、シフトダウンの練習」
「1速のままどれだけブレーキポイントを遅くできるかの練習」
をしました。


オフセットスラロームでは短い直線で一気にがばっと全開にできるのに、長い直線で下からうわーっと回転があがっていく加速感が怖くて、最初の数周はどうしてもアクセルを全開にできず、閉じてしまいました。


車の免許を取ったとき、教習所の所内の急制動でもどうしても30km/hが出せなくて、30km/hが出せるまでぐるぐる所内を回って、結局制動の練習をする前に時間が終わってしまったのを思い出します。


何周か走ってようやく加速感に慣れてきて(まあノーマルVTRですから)レッドゾーンまで回すことができるようになったので次は2速にあげて、1速に落とす練習。ブリッピングの真似事をしてみますが、フロントブレーキから指がはずれない程度にしか煽れない&思い切りが悪くてクラッチをつなぐタイミングが遅いので、エンブレだけで盛大にロックして車体がコントロールを失い恐怖体験。


次の周回ではゆっくり落ち着いて半クラでつないで、シフトチェンジの練習はとりあえずおしまいにしました。


次に喫緊の課題である1速のままブレーキポイントを遅くする練習。大きな弧から折り返したところ先にパイロンがあり、そのパイロンを曲がるのにちょうどよい速度を残すためには、折り返し地点にパイロンがある場合よりも早めの速度で折り返さなくてはならず、藪に向かって突っ込んでいく感じがとっても怖いです。はたからみたらVTRの1速でレッドゾーンぎりぎりあたりの速度ですから非常にゆったりしてみえると思うのですが、自分の中では立派なチキンレースです。自分が思っているよりも全然突っ込める、ということが体感できただけよしとしましょう。


市街地コースではなるべく上半身を行き先に向ける動きでバイクの向きを変えていくようにして、あまりフロントブレーキに頼らないように走りました。とはいえやはり慎重に、相変わらず角ごとに止まるような走りにはなってしまいますが、少なくとも事務練で鍛えられて縁石ぎりぎりのラインを走れるようになった分、以前よりは所要時間は短くなったのではないかとおもいます。


後ろの人が私の後にものすごーく間を空けてスタートしていたら申し訳ないなと思ってチラチラと後ろを気にしながら走っていたのですが、どうやら通常の間隔でスタートしていたようなので少しはコーススラも普通に走れるようになったかなぁ、と胸をなでおろしました。


1ヶ月HMSを離れて別の場所で練習し、HMSに戻ってみたら今まで悩んでいたことが嘘のようにどのセクションもすいすい走れる・・・ようになっていたらこんなにウハウハ(死語?)なことはないのですが、勿論そんなことはなく、相変わらず直スラは楽しく、オフセットは速く走れ、バリアブルでは小さい切り返しは「ひゃっほう!」と走れるものの大きいRで後ろに追いつかれ、市街地と新コースはダメダメでした。得意も苦手も変わりません。世の中そんなにうまいこといきません。


でも、他の場所で練習したことで市街地コースが少し速く走れるようになっていたり、逆に他の場所ではひたすら悩んでいたことがイントラさんのアドバイスで光明が見えたり、またHMS以外でも走れる場所ができたことでHMSではただただ走りこむだけではなくパーツに特化した練習を試みたりイントラさんのアドバイスをじっくりきいたりする気持ちの余裕を持てるようになったことで、「棲み分け」はうまくいっているなぁと感じたのでした。


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